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【BAPクローズアップ案件】OICグループ、スーパーバリューへのTOBで完全子会社化へ

2025.11.21

食品流通グループ一体運営を見据えた上場子会社の非公開化

基準株式の65.2%を支配株主が保有する状況で、少数株主保護に配慮しつつ非公開化を進めるためのポイントとは

今回のM&Aサマリ

非上場の親会社である株式会社OICグループが、上場子会社の株式会社スーパーバリュー(証券コード3094)の普通株式および既発行の一部新株予約権を対象にTOB(公開買付け)を開始した。スーパーバリュー取締役会は、完全子会社化(上場廃止を予定)を前提に賛同と応募推奨を決議している。本件は、親会社側が非上場であるため、狭義の「親子上場の解消」ではなく、非上場親会社による上場子会社の非公開化に該当する。買付けは1株795円、新株予約権は1個238,200円で提示され、OICグループは既に65.2%を保有する支配株主である点が前提となる。成立後は株式併合等により最終的に100%化を図る計画である。

 

M&A|OICグループ|食品流通グループ|スーバーバリュー|TOB|上場子会社

取引の骨子

公開買付者であるOICグループは神奈川県川崎市に本社を置く食品総合流通グループで、ロピア等の食品スーパー運営、精肉・外食、食品製造・卸、輸出入まで裾野が広い。スーパーバリューとの資本・人的・取引関係はすでに厚く、OICグループは844万株(自己株式控除後の基準株式の65.2%)を直接保有し、取締役の兼務や相互出向、業務委託・商品取引などが開示されている。対象会社であるスーパーバリューは首都圏でディスカウント型食品スーパー等を運営している今回のTOBはこうした既存の支配・業務関係を踏まえ、連結子会社の完全子会社化に踏み切るものと位置づけられる。

買付条件とスキーム:「どうやって」非公開化を実現するか

本TOBの提示条件は、普通株式1株795円、第1回・第3回新株予約権1個238,200円である。買付予定数の上限・下限はいずれも設定しない(応募分全取得)ため、応募株数にかかわらず手続を前進させ得る設計になっている。スーパーバリュー取締役会は本件に賛同し応募推奨を決議し、その決議が利害関係のない取締役全員の承認および利害関係のない監査役全員の異議なしの手続きを経ている点も開示される。これは支配株主取引における利益相反の論点に配慮した手続的公正の確保に当たる。また、公開買付者・対象会社の関係や価格・対象・方針(全応募の買付)など、投資家の判断に資する要素が書面で明示され、透明性の高い公表となっている。

下限(MoM)を設けない理由としては2つある。第一に、OICグループが既に自己株式控除後の基準株式の65.2%を保有しており、下限を付すと成立不確実性が増し、応募を希望する一般株主・新株予約権者の利益に資さない可能性があること。第二に、過去の定時株主総会の議決権行使比率が80.5%〜90.9%で推移しており、仮に最大水準(90.9%)を想定しても、親会社が保有する全議決権を行使することで株式併合に必要な特別決議(出席株主の3分の2超となる73.2%)を見込めると整理している点である。このように、下限を設けない正当性を説明しつつ、少数株主の判断機会は公表内容と期間設計で担保するという、支配株主TOBの実務的な割り切りが明瞭になっている。

TOB後に少数株主が残る場合は、株式併合等の措置によりスクイーズアウトして最終的に100%化を完遂する方針が示されている。一般に、当該整理はTOBと同額の対価で処理される枠組みが採られるため、応募しなかった少数株主についても価格面の公平性が担保されやすい。本件もその前提を開示しており、上場廃止を予定する道筋を明確にしている。こうしたスキーム全体の見通しの明示は、価格の妥当性と並び、株主の意思決定を支える重要な要素である。

非公開化の目的と注目ポイント

スーパーバリューの取締役会は、本TOBおよびその後の一連の手続により完全子会社化し、上場廃止となる予定であることを前提に賛同と応募推奨を決議した。また、2023年5月29日公表の上場維持基準適合計画を、本TOB成立を条件に撤回する決議も行っている。これは、上場を維持するための社内外コストや親子関係特有の利害調整コストを削減し、親会社主導の意思決定の迅速化・一体運営へ舵を切る方針を意味する。OICグループ側は食品流通の川上から川下までを包含する事業ポートフォリオを持つため、店舗フォーマット・商品調達・人材配置・サプライチェーン運営の統合最適化は、上場の枠外で中長期に設計・実装しやすい。こうしたガバナンス上・実務上のメリットが、本件の背景に横たわる動機と理解できる。

実務上の注目ポイントとしては、2つある。1つ目は、公正性確保の段取りである。利害関係を有しない取締役・監査役の関与方法や、MoM非採用の明示的ロジック、株式併合の見取り図までを含め、判断材料が網羅的に提示されている。2つ目は、意思決定のタイムラインである。賛同・応募推奨のボード決議、TOB条件の明示、続く組織再編の選択肢(株式併合など)という一本道のロードマップが示され、成立確度と実行力の裏付けとなっている。

出典・参考資料

本記事は公開情報に基づく一般的な情報提供を目的としたものであり、当社が内容の正確性・網羅性・最新性を保証するものではありません。また、特定の投資判断や法律・会計・税務に関する助言を行うものではありません。これらの事項については、必ず弁護士、公認会計士、税理士などの専門家にご確認ください。本記事の利用により生じたいかなる損害についても、当社は一切の責任を負いかねます。

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